SANYO SS-58型

パナに買収される事が決まった三洋電機ですが、昔はこんなラジオを作ってました。最も当時はラジオ全盛期で猫も杓子もラジオを作っていたのですが。

ということで、最近入手した「サンヨー SS-58型 トランス式五球スーパー ラジオ」です。

SS-58

SS-58

昭和29(1954)年頃の製品なので、今から55年前に製造された、トランス付きのMW(中波)専用のスパーヘテロダイン式の真空管ラジオです。
トランスレスかと思ってましたが、トランス付きでしたので球の確保に苦労しそうです(5MK9等は国内専用なので海外通販でも手に入れにくい)。
他のサイトでの修復記を拝見しますとかなり痛んでいるものが多いのですが、これは欠品などもなく、外見も綺麗です。しかし過ごして来た年数を考えるとそれなりのレストアが必要でしょう。一応、動作品ということで入手しましたが…

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シャーシー内は前の持ち主がペーパーコンデンサの類を交換していましたが、怪しさ満点です。良く鳴っているとのことでしたが、ACケーブルも当時のままで、歴史的価値はあるかも知れませんが、実用にするには危険ですので、痛んでいるゴムブッシュごと交換しました。
付いて来た球もNECやらマツダ(東芝)やらTENやらで何回か交換されてるようで、エミ減してるぽい6BE6 6BD6 6AR5は手持ちと日本橋で買ってきた球に交換しました。これでABC,MBS,OBCまでの地元局も入るようになりました。ハムも若干大目ですが、半波 整流ですし、こんなものかなと思う程度です。ケミコンは個を吹いたりお漏らしはしていないようでしたので、そのままですがいずれ交換したほうが良いかもし れません。

もう一台持っている謎の超小型トランスレス五球スーパーはバーアンテナ内蔵で感度もトランジスタラジオに負けませんが、このラジオはバーアンテナはなく、 ボビンに巻かれたアンテナコイルからビニール線のアンテナが伸びてます。NHK第一(100KW)、NHK第二(300KW)、 ABC,MBS(50KW)の差がよく分かる程度の感度ですが、アンテナ線を適度に延ばしておけば実用になります。

最後に定格表を

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回路図は本来底面に貼られていたようですが、敗れてありません。幸いにも回路図を起こしてくれた方のサイトが見つかったので、保守できそうです。

サンヨーSS-58 5球スーパーラジオの修復体験記録

IFTの調整をしました。そこそこズレているのでAVC電圧が最低?になるように調整しました。
AVC電圧とは、周波数変換→初段のIFTのF端子とGND間の電圧で、通常は負の電圧です。受信レベルが上がると、この電圧がよりマイナスに振るように なり、結果としてゲインが下がって音量が一定になるようになります。現在の言い方ではAGCですね。音声レベルで調整しようとすると(音量を一定に保つの がこの機能の目的なので)判りにくいので、この方法が良いと思います。
電圧からすると一番強い局はやはりNHK第二(300KW 828KHz)のようでした。弱小はラジオ関西。

調整している途中でやたら高い周波数側の放送局が聞えづらい事に気がつきました。ノイズにまみれてラジオ大阪(1314KHz)にいたっては実用になりません。
我が家で最高級?のラジオ SONY ICF-SW7600Gで1769(1314+455)KHzを受信してみると、ラジオを置いているところで強烈にノイズが。中で発振でもしてるのかとラ ジオの電源を切ってみても聞えます。ラジオのコンセントを抜くとノイズが消えました。電灯線経由でラジオの中にノイズが入り込み(本来の周波数ではどうか わかりませんが、少なくともOSCの周波数ではノイズだらけです。このままでは変換した455KHzもノイズまみれでしょう)受信に悪影響を与えていたよ うです。
同じコンセントから取っているPLL方式のチューナーでは判りませんから、オートトランスで電灯線と絶縁されていないこと等が影響しているのでしょう。ちなみに近くにはパソコンやらHDDレコーダーがいてるので何かしらのスイッチングノイズかもしれません。

パソコン類から離れたコンセントから電源を取ると、綺麗にノイズは消えました。変わりにハムが目立つようになりましたが、満足行く受信感度になりました。
アンテナケーブルを繋ぐとローカル以外にもいくつか局が入るぐらい高感度になりましたが、1088KHzで1179KHzが聞えてしまってるようです。 OSCの周波数の1543KHzでも音声が聞えてるのが不思議です(本来OSCは無変調)。妙に歪んでいるので本物とは区別が付きますがちょっとした謎で す。アンテナ線を短くすると消えます。

とりあえずこれで調整は終了。実用にすることにしました。

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